どんな赤より美しい~7月の誕生石 ルビーの魅力

ジュエリー

世界中の女性達の憧れの宝石といってまず思い浮かぶのは、ルビーではないでしょうか。
太陽が燦燦と降り注ぐ7月の誕生石として人々に愛され圧倒的な存在感を放つ宝石です。

この世に存在する ありとあらゆる赤色の中で個人的に最も美しいと感じる色。
甘くてフルーティーなトマトの赤色、赤く紅葉したカエデの赤、身体中を流れる鮮血の色、赤いハイヒールの足先には美しく塗られた赤色のネイル、めらめらと燃え滾る紅蓮の炎…
やさしい赤から情念の色まで、どの赤をとってもルビーに勝る美しい赤はないように思います。

もう幾年も前の話ですが、初めて頂いたサラリーで購入したのが、可憐な赤い光を放つルビーでした。
何度も何度も宝石店のガラスケースを覗きこみ、売れていないのを確認した日々を経て、待ちに待った25日のお給料日に、お金を握りしめて購入した人生初のリングでした。

嬉しくて嬉しくて、他人に気づいてもらいたくて、毎日右手の薬指につけていたのですが、
「素敵ね」 と指摘されても、面倒くさそうに 「そお?」って答えてしまうような、素直になれない自分がいたのです。
今の自分は 「ルビーが好き。 どの宝石よりも素敵な赤だから!」 と自然に答えることができます。
歳と共に積み重ねた場数と経験は、ルビーに相応しい自分になるための十分な準備だったのかもしれません。
そんな思い入れのあるルビーの深い魅力を掘り下げていきたいと思います。

ルビーの色について


ルビーは、サファイアと共に、コランダムという鉱物に属します。
多くの場合、結晶に熱処理で黒みや青み、紫色を取り除いて美しい赤色を引き出しています。
カラーストーン市場では、ルビーがカラットあたり最高の価格が付けられることがあり、重要な宝石の一つであると言われています。
ルビーの赤色の強さは、コランダムに含まれるクロムの含有量によります。
クロムの含有量が少なく、赤色を示さないその他の色は、サファイアと区別されます。
まるで燃え盛る炎をとじこめたかのように赤く輝くルビーの語源は、ラテン語の「赤」を意味する「ルベウス(rubeus)(ruber)」から来ていると言われています。
日本での和名は、みたまんま名付けられた「紅玉」と言います。

鑑別技術の発達していなかった昔は、赤色の宝石を全てルビーと言っていたようです。
戦勝記念として王から贈られた黒太子(中世の英雄エドワード皇太子)の158カラットもあるルビーは有名ですが、鑑別の結果、同じ赤色のスピネルであったことがわかりました。
ルビーは、紫外線が当たると淡く輝き発光する性質(蛍光性)を持っています。
むしろ合成ルビーだと真っ赤な蛍光反応を示します。
ただ、最高品質の天然ルビーでも真っ赤に反応した事例もあるので、紫外線を当てただけで100%の判断をすることは難しいと言われています。

そんなルビーの赤は、古くから傷の手当てや解熱剤など、血や熱に対して効果のある護符とされてきました。
戦士達に不死身の力を与え、危険を察知したとも言われています。
その燃えるような赤色は神経を興奮させ、身体の奥底からやる気がどんどん湧き出て、ビジネスや恋愛など チャンスをひきよせるパワーを発揮するのではないでしょうか。

ピジョンブラッド

ルビーの中でも最高級の価値のある赤色の輝きを、「ピジョンブラッド」(鳩の血)と言います。
高度の鮮烈さと混ざり気のない濃い赤色に照り輝きます。
ひときわ良質のルビーを産出することで有名なミャンマーのモゴック鉱山でさえも、トップクラスのルビーが発見されるのは奇跡的な確率だと言われています。
とても貴重で高価な宝石です。
ビーフブラッド

タイで産出されるルビーを、主に「ビーフブラッド」(牛の血)と言います。
青の発色要因となる鉄を多く含むため少々黒味がかかり、ミャンマー産のルビーよりも価格は下がりますが、熱処理技術の向上により黒みをなくす改良ができるようになり、商業的に使用できる品質が飛躍的に増えたと言われています。

ほかにも、スリランカやベトナムなどで産出されるさくらんぼのようなピンクに近い薄いは、「チェリーピンク」と呼ばれています。

圧倒的ジェムクイーン ~ルビー

7月の誕生石でもあるルビーは、結婚40周年の「ルビー婚式」のアニバーサリー石 としても知られています。
ダイヤモンドの硬度10に次ぐ9の硬度を持つので、熱や薬品に対しても抵抗力を持ち、退色性もないことから、気軽に身に着けて楽しむことができる宝石です。
古来より、体の右側に身に着けると、ルビーのパワーを受けられると言い伝えられており、
中世ヨーロッパ時代など、帽子の右側にルビーが描かれた王族の男子の肖像画が残されていたり、ルビーはほぼ体の右側に描かれています。
また古代インドでは、ダイヤモンドより貴重で価値があり平和のお守り石として大切に扱われてきたそうです。
聖書など…様々な歴史的文献に登場する宝石の最高位にも常にルビーが王座にありました。

圧倒的ジェムクイーンであるルビーの宝石言葉は
“情熱・仁愛・威厳・自由・勇気・魔除け” など。

宝石言葉からも、ルビーを描くことで、太陽のように燃え上がる情熱や湧き立つような生命力、深い愛情などに結びつく、エネルギッシュでポジティブな印象の宝石です。

若い女性のピアスやペンダントトップにはもちろん、長い年月を共に歩み、固い絆と情熱で結ばれた
ご夫婦の年月を物語るような指にも断然似合う赤色です。
たとえ小さな一粒でも、地金にのったその鮮やかな赤の輝きは、あなたの指をぐんと引き立ててくれます。
魂を突き刺さすようなその美しさは、あなたのやる気と魅力を充分に沸き立たせてくれるのではないでしょうか。

活版印刷
余談ですが、日本ではふりがなを「ルビをふる」と言いますね。
この「ルビ」は、宝石のルビーからきていることをご存知でしたか?
文明開化の明治時代、日本に印刷技術が伝わりました。
日本では活字の大きさを号であらわしていました。
日本が印刷技術をお手本としていたイギリスでは、活字をポイントという単位であらわし、その大きさごとに宝石の名前をつけていました。
4.5ポイントの活字をダイヤモンド、5ポイントはパール、5.5ポイントをルビー、6.5ポイントをエメラルドといった具合です。
日本がふりがなに使用していた7号活字は、ポイントに換算すると5.5となるので、日本もルビーと呼び、いつのまにか詰まって「ルビ」と呼ぶようになり、今日に至っているわけです。
活字の大きさに宝石の名前が隠されていたなんて、なんだか洒落ていますよね。

ライター:綺羅子

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