3月の誕生石 珊瑚とブラッドストーンについて-前編-

ジュエリー

3月の誕生石というとアクアマリンが有名ですが、その他にも 「珊瑚」 や 「ブラッドストーン」
があげられます。

今回は、海の宝石 「珊瑚」 と、深い緑に赤が浮かぶ 「ブラッドストーン」 について2週に渡ってお話ししていきます。

珊瑚(コーラル)について


  

珊瑚は珊瑚虫と呼ばれる動物で、「刺胞動物・花虫類」という「ポリプ」という群種に分類されます。
神代の昔より美しい光沢を放つ珊瑚は、真珠とともに海の二大宝石として人々に大切にされてきました。
日本でも古くから帯留めやかんざし、指輪や根付け等に使用され現在でも愛されています。

今週は、時が止まったかのような深い海の底から姿を現す、美しき珊瑚について深掘りしていきます。

宝石珊瑚の歴史

宝石珊瑚の歴史は古く、紀元前2万5千年前の旧石器時代からと言われており、ドイツの遺跡から当時の装飾品が見つかっています。
古代ローマ人も子供の健やかな成長を願ってゆりかごに添えたり、戦場へ向かう兵士が護符として身に着けたりしていたようです。
日本へも、地中海からシルクロードを経て渡ってきたといわれ、現存する最古の珊瑚としては奈良の正倉院の御物として伝えられています。

日本に伝来して後、江戸時代後期になると江戸の彫職人の手によって、印鑑や煙草入れ、
かんざしや櫛などの装身具として、珊瑚の造型文化が開花していきます。
幕末の土佐藩の財政を支えたのは珊瑚だとも言われており、江戸幕府に美しい珊瑚の存在を
知られてはならないといった当時のことがわかるような “土佐のわらべ唄” も残っているそうです。

日本のサンゴ採取漁業においては、明治以降急速に発展し、珊瑚の産地の主役は次第に
地中海・イタリアから日本に移っていきました。

さまざまな宗教においても装飾品以上の意味を持つほか、医薬品としても珍重されたようです。

珊瑚ができるまで

一般的に一括りに「珊瑚」と呼びますが、
「宝石サンゴ(八放珊瑚)」と「造礁サンゴ(六放珊瑚)」に分類されます。

造礁サンゴ(六放珊瑚)

珊瑚というと美しいエメラルドグリーンの海の珊瑚礁をイメージしますよね。

「造礁サンゴ」は、太陽の光がキラキラと反射する水深50メートルまでの比較的温かい中で
プランクトンを捕食し、美しい海の環境や生態系に深く関わります。
そこでは、褐虫藻と呼ばれる藻類と共生しており、お互いに成長に必要な酸素や栄養分を分け合いながら太陽の光が届く深さで生息しています。

そんな珊瑚礁を形成するテーブル珊瑚などは、魚たちの生息場所であり、成長速度が速く、
小さな穴が開いた軽石状で非常に脆く“宝石”には適しません。

宝石サンゴ(八放珊瑚)

一方、宝石となる希少な珊瑚は、 「宝石珊瑚(八放珊瑚)」 と呼ばれ、珊瑚礁が広がる海とは
対照的に、水深100メートル~1,500メートル以上の海の底に生息します。
そこは、太陽の光さえも届かない深く冷たい闇に至る、複雑な海底地形の中にあります。

宝石珊瑚は別名 「八放珊瑚」 とも呼ばれており、触手(自由に伸縮・屈曲する細長い突起)が
8本に分かれているためそう言われています。
珊瑚の成長過程は、深海に住む珊瑚虫と呼ばれる虫が群れをなし、石灰質を分泌しながら付着し合いできたものです。

その成長速度は一年に数ミリほど…
1㎝成長するのに50年かかると言われ、過酷な状況下で微少な浮遊物を捕食しながら、
ゆっくりゆっくりと長い年月をかけて人の歯と同じ硬度を持つとされる 「宝石珊瑚(八放珊瑚)」
が形成されていきます。
一度採取すると、再び価値のある原木に育つまでには約100年以上かかると言われ、養殖も出来ないため、非常に希少価値が高まっています。

珊瑚漁師

高級珊瑚の水揚げ日本一を誇る高知県は、年に数回珊瑚の原木の入札会が行われています。
中には、1本9000万円もの価格で落札された高級珊瑚もあるそうです。
中国や台湾などのアジア圏の富裕層に人気で、日本産の珊瑚は希少であり、価格も年々高騰しているそうです。

一攫千金を狙う漁師達が高級珊瑚を求めて沖合へ漁に出ますが、珊瑚漁は誰でもできるものではありません。
行政から珊瑚漁の許可を受けていないとできないのです。
その上、珊瑚漁の定数が決まっているため、リタイアする版権を待つ漁師達が何人も順番待ちをしているそうです。

現代でもなかなか厳しい世界のようですが、土佐珊瑚は最も美しいとされ世界的に人気が高く、
最高級品として取り扱われています。
2010年に中国政府が国内でのサンゴ漁を禁止して以降、より価格が高騰。
そのため五島列島や沖縄周辺での密漁含め、日本近海のサンゴを狙った密漁船団の問題も、
両国が協力して取り組んでいかなければならない大きな課題です。

神秘的な珊瑚の世界

珊瑚の代表的なカラーには、ピンク、白、赤があります。
欧米ではエンジェルスキンと呼ばれる淡い桃色の柔肌のような珊瑚が好まれる一方、
日本では血よりも赤い珊瑚 「血赤珊瑚」 が貴重とされ人気があります。
また、子孫繁栄や邪気を払う護符として、古くから珍重されてきました。

珊瑚の種類にもよりますが、産卵は1年に1回。
満月の頃に一斉に卵と精子が詰まったカプセル(バンドル)が海面へ放出され、水面ではじけて受精します。
満月に近い頃に産卵が起きるなんて不思議ではありませんか?

その理由として考えられているのは、満月の海は一番潮の満ち引きが大きくなるということ。
動くことができない珊瑚は少しでも子孫を残したいといった本能から、大きな潮の流れに任せて
できるだけ遠くに卵を飛ばして子孫を残そうとするのだそうです。

最近の研究では、「大潮の満月の頃」に加えて、「海水表面温度」「風速」「日射量」といった
環境要因が加わり産卵時期が前後すると言われています。
珊瑚も子孫繁栄のために、環境の変化に合わせて進化しているのですね。

そんな珊瑚の産卵シーンは、満点の星の中に包まれたかのごとく美しい光景であると、
ダイバー達は言っています。

ピンクのカプセルが宇宙空間のように浮かびあがる「サンゴナイト」。
想像しただけでも、幻想的で神秘的ですよね。

子孫繁栄、不老不死、若返りなどのパワーがあるとされているのは、こうしたシーンからきているのかもしれません。

自然が放つ不思議なエネルギーを感じます。

母なる海のエネルギーをまとった「珊瑚」

枝振りが見事な高級珊瑚は、「拝見」と言われ、海底にあったそのままの形状を尊び、置物にして
観賞用として世に出ます。
枝振りが折れたものが宝石として加工され、ペンダントトップやイヤリングやピアス、ネックレスなどとして店頭に並びます。

ジュエリーとしてオススメなのは、珊瑚本来のしなやかさを出すためにも、珊瑚単体のデザインをおすすめします。
もしくは同じ海の宝石である真珠を少し組み合わせたものは、初めて珊瑚を身に着ける方には取り入れやすいのではないでしょうか。
また希少な血赤珊瑚は年を重ねられた肌にこそ、艶やかで肌馴染みがよいと思います。

珊瑚の宝石言葉は
「幸福」「長寿」「知恵」「聡明」「安産」「生命力を高める」「魔除け」など
親から子へと最初に贈ると良いとも言われています。

誕生石ではない方も、母の愛のように持ち主をやさしく包みこむような、3月の誕生石「珊瑚」を是非一度、手に取って味わってみてくださいね。

次週は、もう一つの3月の誕生石~後編 「ブラッドストーン」 についてお届けします。

ライター:綺羅子

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