宝石のカット。種類・形(シェイプ)、意味と選び方は?

ジュエリー

「ラウンド・ブリリアント・カット」に「エメラルド・カット」。
ぼんやりと想像はできても、具体的にどんなカット?と聞かれると説明が難しい宝石の「カット」。

今回は「宝石のカット」について。
種類と形(シェイプ)、それぞれのカットの意味やカットの方法をお届けします。

宝石のカットは何種類?形と意味、カットの方法とは

ほとんどの宝石は原石そのままでなく、カットが施されてからジュエリーやアクセサリーにセッティングされます。

カットの方法は、原石の切断からはじまります。
つぎにカットの選定、研削、研磨を経て仕上げまでが通常の工程。

カットの選定は、目的に応じてなされます。
「光沢や色を鮮明に引き出すため」、または「輝きを最大限に引き出すため」など、宝石のカットはただ形を整えるだけでなく、様々な目的があって施されるのです。

宝石のカット5種類。形で異なる意味とは

研磨技術が向上したことと、カットにデザイン性が加えられたこともあり、現代の宝石カットの分類方法は多種多様。

ここではおおまかに5つに分類してご紹介しますね。

【ファセット・カット】

「ファセット(faceted)」とは「面」を意味する言葉であり、切子面や研磨面と呼ばれていました。
もっとも代表的なカットであり、「カボション・カット」と並ぶ二大主要カットといえるでしょう。

たとえばダイヤモンド。
屈折率の高い宝石の輝きを引き出すため、一般的な「ラウンド・ブリリアント・カット」は58面もの面がつけられます。

【カボション・カット】

底面が平らでドーム状の盛り上がりのあるカボション・カット。
「カボ(cabo)」は中期フランス語で頭を意味する言葉で、つるっとしたカットからそのような名前がつけられたとされています。

ファセット・カットと比べて地味な印象を受けがちなカボション・カットですが、スター効果やキャッツ・アイ効果といった、カボションだからこそ引き出せる美しさがあります。

【ビーズ】

研磨技術が発達する以前、宝石の最もメジャーなカットであった「ビーズ(bead)」。
糸通しの穴がある小さな飾り玉は、紀元前のジュエリーにもあしらわれています。

現代では数珠やパールのネックレスがおもなビーズ加工のジュエリー。
※パールは基本研磨の必要のない宝石のため、通常は穴を開ける工程のみ

【スライス・カット】

原石を板状に削り出したスライス・カット。
ボリューム感とモダンな雰囲気を楽しめます。

個性のある柄や色を存分に堪能したい方におすすめ。
高さがないため、リングにも適しています。

【カメオ・インタリオ】

原石を板状に加工した後、彫りを施す「カメオ(cameo)」と「インタリオ(intaglio)」。

カメオは図柄を浮き上がらせる「浮き彫り」。
対するインタリオは図柄が沈んでみえる「沈み彫り」。

石の縁を基準に、図柄の高さによって区別されます。

宝石のシェイプ。ラウンド・ブリリアント・カットとは?

通常、宝石のカットというと、すでに述べた分類を指しますが、カットが施された宝石を真上から見た時の形、いわゆる「シェイプ」をカットと呼ぶこともあります。
このシェイプはおもにファセット・カットのさらに細かな分類であり、ここでは主要な4種類をご紹介しますね。

【ラウンド系】

角がなく、丸みを帯びたシェイプは「ラウンドカット」と「オーバルカット」の2種類。
なかでも「ラウンド・ブリリアント・カット」は、石の輝きを最大限に引き出せるカットとして高い支持を得ています。
特に、婚約指輪にセッティングするダイヤモンドのカットとして人気。

【スクエア系】

「ステップカット」と呼ばれる四角をベースにしたシェイプは3種類。
正方形が「スクエアカット」、長方形なら「バケットカット」。
そして「エメラルドカット」は、ステップカットのなかでも一般的であり、衝撃で欠けにくくするために長方形の角を落としています。

【ファンシー】

ラウンドにもスクエアにも該当しないカットは「ファンシーカット」。
船型の「マーキスカット」にしずく型の「ペアシェイプカット」、ハート形は「ハートシェイプ」と呼ばれます。

【ミックス】

ラウンドカットとステップカットを組み合わせたのが「ミックスカット」。
カットが混在していれば形は問わないため、デザインの幅が広いカットです。

宝石のカットの選び方。スター効果はカボション・カット?

石の個性を、美しさを引き出す「カット」。
では実際に石を選ぶ時、どのように選べばよいのでしょう。

紹介したシェイプ、またはカットの仕上がりで選ぶ以外なら、イメージや効果で選ぶのはいかがでしょう。
同じ宝石でも、施されるカットが異なると雰囲気は一変するからです。

たとえばサファイア。
ファセット・カットは光をしっかり反射し輝くシャープな印象。
カボション・カットなら艶やかに広がる青が優しい印象。

また、サファイアのカボション・カットは、微細な針状のインクルージョンを確認できる原石なら「スター」が出現します。
この「スター・サファイア」は、ファセット・カットでは生み出すことができません。

そのため、輝きを堪能したい透明石で、ダイヤモンドやスフェーンといった屈折率が高い宝石ならファセット・カット。
模様や透明感、スター効果やキャッツ・アイ効果、オパールの遊色効果など、特別な効果を楽しむならカボション・カットというように、期待するイメージや効果を意識してみるのもひとつ。

もちろん宝石によってメジャーなカットは異なるので、欠けやすいなど性質的に相性が悪くなければ、その宝石であまり見ないカットを選ぶのも素敵です。

まとめ

宝石のカットは紹介しきれないくらい多彩な組み合わせがあり、石の個性によってどのカットが適しているかも異なります。

その上で、どんな雰囲気が好みか。
何を優先したいのかを明確にして、あなたに合うカットを見つけてくださいね。

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ライター:ニシナエリカ

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