多彩な色を持つ10月の誕生石 トルマリンについて

ジュエリー

10月の誕生石として良く知られているのはオパールですが、トルマリンも10月を彩る誕生石として大変人気のあるジュエリーです。
バラエティーに富んだトルマリンの色数は、ガーネットやコランダムも及びません。
スリランカのシンハラ語で 「turmali (トルマリ)」 とは、いろいろな色を持つということから、トルマリンというようになったと言われています。

トルマリンの多くは、ブラジルで産出されますが、パキスタンやアフリカやアメリカでも発見されます。結晶が大きい為、ジュエリーになる美しいものは大量に採ることが出来ず、希少性が高くなります。

秋は食や旅、芸術など何をするにも生活に彩を与えてくれる季節。
そんな秋のような水彩画の如くバリエーションに富んだ、多くの色を持つトルマリンの魅力について、深堀していきましょう。

静電気を発生する石

和名は、「電気石」と言い、熱や圧力を加えると電気を放ち永久電極を持ちます。
一時期、静電気予防の為に、パソコンの側や携帯電話のストラップとして流行ったこともありましたね。

トルマリンの特徴である静電気に気がついたのは、アムステルダムの宝石商人でした。
ある日商人たちは、たまたま明るい日向に置いてあったトルマリンに、埃や灰が引き寄せられているのを見かけました。
「トルマリンの太陽の熱によって帯電し、静電気を発生する性質」 に気が付いたのです。
どうして電気を帯びるかというと、イオン化する力を持つナトリウムやマグネシウム、アルミニウムを多く含むためだそう。

その後、商人たちはこの特徴を利用して、トルマリンを刻みタバコの灰を集めるのに使ったと伝えられています。
なんだか贅沢なお話しですね。

オールカラーの石

トルマリンはたくさんの色をもつことから、違う宝石と間違われてきました。
そのため歴史の長い宝石ですが、トルマリンとしての由来や言い伝えがほとんどありません。
例えば、緑色のトルマリンの結晶をエメラルドとされ、王冠やペンダントに飾られていた赤いトルマリンは、ずっとルビーだと勘違いされてきました。
1800年代に鉱物学者によって、トルマリンは違う鉱物種であると定義されるまで、誤った鑑別がされていたのです。

その色彩は “ない色はない” と言われるほど、彩り豊かなカラーバリエーションで知られるトルマリン。
中には一つの結晶に二色以上の配色を持つパーティーカラードと呼ばれるトルマリンも。
特にピンクとグリーンの組み合わせが多く、2色の場合は「バイカラー」、3色の場合は「トリカラー」と言います。色のグラデーションと境目の色の濃淡は他の石では味わえない自然のきまぐれが生み出した不思議な美しさです。

そもそもトルマリンは別の石と考えられていたこともあり、色によって呼び方 (宝石名) が異なります。
どんな色や名称があるのかなど…代表的なトルマリンの種類をご紹介します。

ルベライト

赤色のトルマリンを 宝石名として “ルベライト” “レッドトルマリン” などと言います。
ラテン語で 「赤」 を意味する “rubellus” に由来すると言われており、濃いピンク~赤のトルマリンに対して呼ばれる総称です。
ストロベリージャムをたっぷりのせたトーストを食べた時、唇にその赤色が艶やかに残るような官能的な色合い。
エメラルドのように天然のインクルージョンが多く、マンガンが多いほど赤色は深まりますが、皮肉にも美しい色を作るマンガンは、美しくなる成長過程の結晶を傷つけてしまいます。
長年ルビーと間違えられてきた歴史を持ち、ルビーに近い印象を受ける宝石です。
王冠などに使用されているルビーだと思われていた石が実はルベライトだった…など近年になって判明しつつあります。
深い赤色ほど価値は上がり、鮮やかな色味が特徴です。

ピンクトルマリン

トルマリンの中でも若い女性に好まれるキュートなピンク色は、その明るい色のトーンからピンクトルマリンと呼ばれ、ルベライト同様に恋愛成就のパワーを発揮するとされる人気の高い宝石です。
“ピンクトルマリン” と “ルベライト” の境界線は、 “ピンクサファイア” と “ルビー” のように難しいのですが、基本的には “ルベライト” はトルマリンの中でも、鮮やかな濃いピンク~赤色のものを限定した名称という考え方が一般的でしょう。
ピンクダイヤや、ピンクサファイアなどのピンク色の宝石の中でも、気軽に楽しめる宝石です。

パライバトルマリン

トルマリンというグループの中だけではなく、全ての色石の中で最も希少価値が高いと言われている宝石が、パライバトルマリンです。
1989年にブラジルのパライバ州にて発見された歴史の浅いトルマリンです。
ネオンブルー~グリーンの蛍光がかったエレクトリックな色合いは、どんな人でも魅了してしまう刺激的な美しさです。
産出されてから1年後には採れなくなり、幻の宝石と言われるほどです。
その後アフリカのモザンビークやナイジェリアなどで発見されましたが、美しいものはなかなか産出されません。
類いまれなる幻想的なネオンブルーの輝きは他のカラーストーンにはない魅力を持ち、今後も価格高騰することは間違いなしの希少石です。

インディゴライト

インディゴライトという名称はラテン語で 「Indicum」と呼ばれる青い植物の名前が由来とされています。 
深海のブルーから明るい青まで様々なブルーがありますが、中でもグリーンをおびた深く藍色に近い色合いのものをインディゴライトトルマリンと言います。
冷たい表情の中に妖しい魅力があり、トルマリンの中ではパライバトルマリンの次に希少価値が高い宝石です。
インディゴライトトルマリンはトルマリンの中でも強い多色性を持ち、名前の由来が植物からきているように自然な癒しの力を感じます。
そのため、気持ちを落ち着かせ 心を鎮める効果があると言われています。

グリーントルマリン

深く妖艶な緑色のエメラルドでもなく、ペリドットのように明るく燦燦としたグリーンでもなく、春と夏を経て培った豊かな10月の深い森の色に似ています。
最高品質のグリーントルマリンは、透明度が高く青みがかったグリーンです。
心を落ち着かせ、力強い意志とやる気をおこさせるパワーがあると言われています。

ウォーターメロントルマリン

トルマリンの中でも遊び心溢れる愉快なカラーがあります。
ピンク色と緑色を含み、輪切りにすると「スイカ」のように見えるトルマリンです。
とってもキュートで微笑んでしまいます。
インクルージョンがまるで種のように浮かび上がり、スイカそのもののようなジューシーなトルマリンです。
このようにピンクと緑を含むものや、または他の色や3色以上含まれるものもあります。
トルマリンの中でも特に癒しの力が強いと言われています。

心身共に美と健康をサポートする癒しの誕生石


数年前に電車の中で、品の良い老婦人を見かけました。
ふと指に目をやると、そこには見たこともない眩い煌めきのリングがありました。
気になってその方の前のつり革につかまり、確認するようにリングを見ました。
ネオンの煌めきの如く光り輝くブルーは、ダイヤモンドに囲まれた1ct以上はあるパライバトルマリンでした。
高額な宝飾品をこれ見よがしにマウントしてくるような雰囲気は全くなく、その揺らめく輝きに見入っている私に「パライバをご存知なのね」(と思ったのか定かではありませんが…)
うっすらと笑みを浮かべ、重ねた手を見やすいように揃えてくださいました。
知らない人に対して突然話しかけることのない私ですが、 「素晴らしいですね」…と
思わず口にしてしまいました。
歳月を重ねた細い指先に、パライバトルマリンは女性の歩いてきた道のりを物語っているかのようにフィットしておりました。
一生分の目の保養ができたような気がします。

艶やかなキャンディーのように沢山の色と共に、それぞれ個性と味があるトルマリン。
宝石言葉は「希望」「広い心」「心安らか」「潔白」「歓喜」など…。
トルマリンのなかでもピンクは「愛の石」と呼ばれ恋愛運や女性自身をサポートするとされています。
また、マイナスイオン電気を放ち、心身共に美と健康をサポートする “癒し” という点においては、トルマリン全般に言われています。

色がグラデーションになったボタンカットのビーズネックレス
四角くカットされた指輪やペンダントトップ
女性に人気のピンクトルマリンのピアスなど

10月の誕生石トルマリンの癒しの力を取り入れて、色彩の秋を楽しんでみてください。

ライター:綺羅子

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