二人の絆を繋ぐ~8月の誕生石 ペリドットとサードニクス-前編

ジュエリー

眩しい太陽の下、夏真っ盛りの8月。
今年はコロナウィルスなどの影響で暗いニュースばかりが耳に入ってきます。
そんな時こそ美しいものを見て感じて、心を豊かにしてみませんか?

8月の誕生石は、色鮮やかな黄緑色の「ペリドット」と、赤と白の縞模様の「サードニクス」です。
ウキウキする快活的な夏にピッタリな色合いの8月の誕生石について、2回に渡ってご紹介していきます。

宇宙を旅した!? 太陽の石 ペリドット

ペリドットは、明るい黄緑色に輝くオリーブグリーンの宝石です。
高温高圧の地球の奥深い内部から産出され、遠い宇宙に散らばっている隕石と同じ成分を含んでいます。
地球誕生はもちろん宇宙を知る手掛かりになりうるとして、科学者らも注目している石でもあります。
鉱物学的には「オリビン」、宝石学では「ペリドット」と呼び分けられ、マグネシウムや鉄のケイ酸塩鉱物のカンラン石(olivine)の一種です。
日本名は「橄欖石(かんらんせき)」と言います。

ペリドットの色は、オリーブグリーンのみで色のバリエーションがありません。
色の濃さは、結晶内部に含まれる鉄分の量に左右されます。
鉄分が多くなると濃くなり、少なくなるほど黄色みが強くなります。
お色味には好みもあると思いますが、黄色や褐色を帯びていない澄んだオリーブグリーンは評価が高くなります。

太陽の石

ペリドットは古代エジプトでは「太陽の石」として愛され、崇められてきました。
古代エジプト人にとって、太陽は復活と再生を意味する特別な神的象徴であり、太陽そのもののような輝きを放つペリドットは太陽が爆発して降ってきた石と信じられていたそうです。
古代人は死を意味する光のない世界を恐れ、日蝕や月蝕は不吉であり神の怒りと捉えていたようです。
ペリドットにはそんな暗闇を吹き飛ばし、明るく照らし不吉なムードを一掃するパワーがあると信じられていたのです。

ペリドットには、他の宝石に見られない “複屈折率が高い” という特徴があり、入った光が2重の光となり出ていきます。
エメラルドやサファイア、ルビーにも複屈折はあるのですが、ペリドットには及びません。
ペリドットの場合は正面から見ると、肉眼でも裏面が二重に見えます。
その反射と屈折によるモザイク模様の構成によって、ほの暗い照明の下でもかなり高い輝きを発するのです。
この特性が古代においては暗闇を照らす護符として、大切にされてきた所以でもあると言えます。

その他にもペリドットには様々な逸話がありますが、ハワイでは現在でもキラウエア火山の女神「ペレ」の涙とも呼ばれている神聖な宝石でもあります。

イブニングエメラルド

ジュエリーの多くは、ろうそくのような弱い光源下ではあまり輝きませんが、ペリドットは石の複屈折率により暗闇を照らす効果があることから、「イブニングエメラルド」と言われ夜の宝石として好んで使用されてきました。
古の時代の夜会においても、ムーディーなほの暗い照明の元では緑色の濃度が増し、ひときわ艶やかに輝く美しいオリーブグリーンは注目の的だったのではないでしょうか。

310カラットのペリドット

ペリドットは結晶自体が小さいので、大きいカラット数のものは大変希少であり高額になります。
透明感のある大粒のペリドットは、指輪やペンダントトップとして高級宝飾店に並びます。
ハワイでもよくお土産として売られていますが、今は殆どがミャンマーやノルウェー、アメリカのアリゾナ産などが主な産出国だと言われています。
今では絶産されていますが、紅海のセントジョーンズ島(現在のザバルガッド島)で産出されたペリドットは歴史に残る美しさでした。
ここから中世ヨーロッパへ渡り、王と王妃の愛情を結びつけたという言い伝えからも宝石言葉につながっているようです。
世界最大の310カラットのペリドットもこの島から産出され、今でもスミソニアン博物館に収蔵されています。

太陽の恵みを持つ幸せな愛を司る石

ペリドットは、ダイヤモンドやルビーに比べるとモース硬度が6.5~7.0と比較的が低く、一定の方向に力を加えると割れてしまう性質があります。また長期的な使用で摩耗が生じることもあります。
もちろん日常的に楽しむことに問題はありませんが、落としたりぶつけたりしないように取扱には注意しましょう。

ペリドットの宝石言葉は「パートナー間の愛と幸福」 「幸福感」 「和合」「豊穣」など…
「悪いものを取り払う」という神聖視されてきたことからもそれぞれの宝石言葉につながったのでしょう。
そのペリドットの持つ神々しい眩ゆさは、内面の魅力までも引き出してくれると言われています。

宝石言葉からも持つ人の人間関係を良好にし、夫婦や恋人同士のようなパートナー間の絆をより一層深め、いつまでも良い関係を保てるなど、円満を保つお守りとして、おそろいで身に着けるカップルも多いそうです。
ピアスや、ペンダント、ビーズのブレスレットなど、様々なペリドットが流通していますので、ペアで身に着けたり、ダイヤモンドをあしらった豪華なデザインで贅沢に楽しむのも良いですね。
8月の燦燦と降り注ぐ日の光のような黄金の輝きを身に纏って、ポジティブに明るい思考になれるパワーを感じてみてください。

次週の後編は、もう一つの8月の誕生石「サードニクス」についてお届けします。

ライター:綺羅子

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