清らかに光り輝く~6月の誕生石  真珠とムーンストーンについて-前編-

ジュエリー

6月に結婚することを「June Brideジューン・ブライド」と呼び、この時季に結婚すると幸せになれると言われています。
日本では梅雨が始まり憂鬱な季節ではありますが、ヨーロッパでは花々が咲き始め、小鳥がさえずる開放的な明るい季節。
結婚式を挙げるには、そんな一番良い気候が、皆に祝福される最適なタイミングだとされてきたようです。

そんな6月の誕生石は、宝石のクィーンと呼ばれている真珠と、淡い光を放つムーンストーンです。
どちらも月の光に似た、神秘的な宝石。
純粋で無垢、はじまりや出発を意味する白い光の色に包まれた宝石、真珠とムーンストーンについて2週に渡ってご紹介していきます。

真珠にまつわる逸話

別名「月の雫」「人魚の涙」などと呼ばれる真珠には、美しくロマンティックな逸話がたくさんあります。
海に落ちた月の雫の生まれ変わりだとか…
水面にゆらめく月の輝きに誘われてやってきた、恋人を探し求める美しい人魚の頬をつたう涙の一滴だとか…
真珠には美しい逸話がたくさんあります。
純白の輝きは優雅で美しく、気品に満ち溢れ、清廉潔白といったクリーンなイメージの中に、力強い生命力が宿っているのです。

真珠の歴史は、ダイヤモンドよりも古く、紀元前3200年頃のエジプト…日本だと縄文時代の頃にあたり、不老長寿、美のシンボルとして大切にされてきました。

エジプトの女王クレオパトラが蜜月だったローマの将軍アントニウスと宴の豪華さを競う賭けを行い、一説では当時でもたいへん貴重で、一国の領土に値するほど高価な真珠のイヤリングをワインビネガーに溶かして飲み干したという話は有名です。
また、美へのすさまじいまでの執着を持った西太后は、真珠の粉を飲んでいたと言われています。

なお、中国では紀元前2300年頃の書経に登場し、ペルシャでは紀元前7世紀頃~、ローマでは紀元前3世紀頃から真珠についての記録があるそうです。
日本では、卑弥呼が中国の皇帝に対して真珠を献上した記録などがあります。
また、万葉集には真珠を想い人に例えた歌が収録されています。

真珠の語源

日本では鉱山で採掘される宝石を “玉” といい、海で採れる宝石を “珠” と言った事から、「真珠」と呼ばれるようになりました。
英名の「パール」は諸説ありますが、形が洋ナシに似ていることからラテン語の洋ナシを意味する、「Perla(ピルラ)」からきていると言われています。
ちなみに、古代ギリシャ語で真珠は「マルガリテス Maragarites(光の子)」と言われました。
それが語源となり、日本で言う多年草のマーガレットは英語では「Margaret=Pearl」、フランス語では「マルグリット Marguerite」も真珠を意味し、さらに面白いのはフランス語のMargariqueは “真珠色” を意味し、ここからマーガリンという単語が作られたそうです。なんだか楽しいですね♪
「宝石の女王」の名にふさわしく、女性的な言葉の語源になっていることもとても興味深いです。

真珠ができるまで

養殖されるアコヤ真珠
世界中の女性を魅了する真珠は一体どのようにして生まれるのでしょうか?
母体となる貝の中に紛れ込んだ小さな寄生虫や砂などの異物…。
貝は異物から身を守るために、必死に自らの殻の真珠層と呼ばれる真珠質の成分を分泌し、その異物を包み込みます。
そうやって幾千も巻きこまれた真珠層は、やがて美しい煌めきとなるのです。
真珠の白い無垢な輝きは、母貝が耐え忍んだ長い痛みの賜物なのです。

実は日本では、邪馬台国の時代から良質の真珠が採れました。
しかし、天然ものを採り続けていたら、いずれ枯渇するのは当たり前のこと。
幸い日本の真珠に関わる人たちは「このままではアコヤ貝が絶滅してしまう!なんとかしなければ~!!!」と早めに動き始めていました。

明治26年(1893年)7月。
世界に先駆けて日本で真珠養殖を成功させたのは、日本が誇る宝飾ブランド「MIKIMOTO」の創業者である御木本幸吉です。
それは真珠の歴史を覆す画期的な出来事でした。
後に有名な「パリ裁判」を経て、『世界中の女性の首に日本の真珠をかけたい』と願った通り、「MIKIMOTO」は、世界の宝石部門ラグジュリーブランドトップ10に輝きました。
ブルガリやハリーウィンストン、カルティエといった老舗高級ブランドと共に肩を並べ、日本品質が世界に認められるところとなり、今も世界中の人々を魅了し続けています。

真珠の種類について

様々な色・形のパール
真珠には、採れる場所や色や形状など、様々な種類が存在します。

【アコヤ本真珠】

母貝がアコヤ貝から採れた真珠を一般的にそう言います。
日本で養殖される真珠は殆どがアコヤ貝から採れます。
アコヤ真珠は、養殖時に母貝に人工的に核となる異物を挿入し、綺麗な真円が形成されます。
アコヤ貝は比較的小さい為、一つの貝から一つしか真珠を採ることが出来ません。
「照り」「巻き」「キズ」「形」で評価され価格が変動します。
一般的にアコヤ真珠は本来の美しさを引き出すための「調色」と呼ばれる加工をしております。
ですが、この工程をふまずに美しさを保持している真珠を ”無調色” と呼び、希少な真珠と言われています。
他の真珠には無い、自然の美しさが感じられる特別な真珠です。
≫Houki Kougeiではお取り扱いのある店舗もございますので、ぜひお問い合わせください。
【淡水パール】

淡水の環境(川や湖)で採れる真珠を言います。
日本では琵琶湖で養殖されていますが、多くは中国から輸入されています。
一般的には淡水真珠に核は挿入しません。
その為アコヤ真珠の品質で問題となる巻の厚みを気にする必要はありません。
核を挿入しないことからライス、ドロップクロス、スティックなどの様々な形があります。
イケチョウ貝という大きな貝から作るので、育つ期間も短く、1つの貝から大量に採れます。
本真珠に比べるとお求め易い事から、気軽に身に着けることができます。
【タヒチ黒蝶真珠と南洋白蝶真珠】

一般的にタヒチ産の黒蝶貝から生まれる黒真珠を南洋黒蝶真珠と言います。
黒系や緑、グレーなどの多様な天然の色があり、形状はサークルを巻いた形状やバロック型が多いです。
中でも「ピーコックグリーン」と呼ばれている深い緑に赤みがかった反射のあるグリーン系の真珠は希少性が高いと言われています。
また南洋白蝶真珠(南洋白真珠)は、白蝶貝から採れる真珠を言います。
真珠貝が大きいので大ぶりに育つのが特徴で、中には20mmを超えるものも!
白やクリーム系、シルバー、ゴールドといった色があります。
【その他…個性的な真珠たち】

真珠母貝の生殖巣の中にできる核を持たないケシパールとう小粒真珠や、半球形のマベパール等があります。
“マベ貝”は熱帯、亜熱帯海域や、日本においては奄美大島より南の琉球列島に生息します。
色はシャンパンクリームに始まり、淡いピンクや青みがかった虹色、黄金色、グリーンなどの多彩なナチュラルカラーが魅力的で、「太陽の光」と称される独特な虹色の強いテリと干渉色を楽しめます。

普遍的な美しさ~冠婚葬祭から日常使いまで~


まだまだ奥深いパールのお話…いかがでしたでしょうか?
あるがままの完璧な美しさをもつ「パール」の魅力をより感じていらっしゃるのではないでしょうか?
女性らしさの象徴ともいえる真珠は、今や冠婚葬祭などフォーマルな装いに定番のジュエリーです。
最近ではカジュアルな日常使いにも欠かせないワードロープとなり、どんなシーンでもずっと使い続けられるジュエリーとして、タイムレスに愛されています。
シンプルなカットソーとデニムに真珠ジュエリーをプラスして、いつものファッションをアップデートしてみてはいかがでしょうか?

その自然なままのフォルムと美しさから、“純真さ” “女性を象徴する月” や “月のしずく” 、 “人魚の涙”などを連想させる宝石。
真珠は古より、純粋な気持ちで 喜びや悲しみなど…人々の様々なシーンに寄り添ってきました。
宝石言葉である「健康」「長寿」「富」「円満」や「安産や女性のお守り」など “永遠” や “生命とのかかわり”にもつながります。

「真珠婚式」は、結婚30周年の記念日です。
長く続いた “時” を記念して、真珠のネックレスや指輪などを贈るのもステキですね。
また、真珠はジュエリーリフォームのご相談も多い宝石です。
ヨーロッパにある習慣のように、母から成人した娘へと「健やかなる幸せを願って」…
そんな想いごと継承して贈るのもサスティナブルなこの時代にもあっているのではないでしょうか。

次週の後編は、もう一つの6月の誕生石「ムーンストーン」についてお届けします。

ライター:綺羅子

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