美しい青色 9月の誕生石サファイアとアイオライトについて-前編

ジュエリー

燃えるような太陽の季節に代わって、しっとりと落ち着いたムードに包まれる季節。
陽が徐々に短くなっていき、物静かな夜風は夏の火照った身体をゆっくりと冷ましてくれます。
そんな “秋の夜” を感じる移ろいと共にやってきた、夏の間の甘い恋の錯覚や、魔がさしていた気の迷いなどを鎮めてくれる “青い色” 。
9月の誕生石は、どんな青より一段と美しく輝くサファイアとアイオライトです。
特にサファイアは、老若男女誰でも知っているポピュラーな宝石です。
9月の誕生石、サファイアとアイオライトについてご紹介していきます。

サファイアについて

サファイアは、主にインドやスリランカ、タイ、オーストラリアなどで産出されます。
古代では、 サファイア = 青い石全般 を示すとされていたようです。
それゆえ、サファイアの語源は、ラピスラズリに関連するギリシャ語の 「Sappheiros(サピロス)」や、ラテン語で 「青」 を意味する 「Sapphirus (サッピールス)」 からきていると言われています。

和名はその色味の通り「蒼玉(セイギョク)」です。
天空 ・ 地球 ・ 宇宙 の青を連想させ “神に近い石”  “天界そのもの” などと各地で神聖視されてきました。

仏教徒にも尊重され、特に信仰心の深い人が身に着けると心が安らぎ、病気や災難から免れると言われてきました。
また、キリスト教国においてもサファイアは、敬虔と誠実のシンボルである石として、崇められ大切に扱われてきた宝石です。
中世ヨーロッパでは、歴代のローマ法王や大司教らが「聖職者の印」としてサファイアの指輪を身に着け信者に触れることで癒したそうです。

サファイアのカラー

ブルーサファイアは、コランダムという鉱物種に属します。
静かな青から、薄い灰色の青など濃淡の段階があります。
上質な柔らかなベルベッドのようなブルー「矢車草の青(コーンフラワーブルー)」が最高とされています。
サファイアと言えば通常ブルーサファイアを指しますが、サファイアにはブルーだけではなく、ピンクやイエロー、オレンジや緑など様々な色が存在します。
コランダムの中でも赤色の物はルビー、それ以外の色の物はサファイアとなります。
色のつくサファイアを総称して「ファンシーサファイア」と言います。

最も希少性が高く、美しいと言われているのが、「パパラチアサファイア」です。
パパラチアとは、スリランカのシンハラ語で “蓮の花” のつぼみの色を意味します。
オレンジ色を帯びた淡いピンク色は、清らかで麗しい蓮の花のように気品がある美しさです。
ピンク色が強いと、ピンクサファイア、オレンジ色が強いとオレンジサファイアになってしまうので、ピンク色とオレンジ色が絶妙に合わさった、高い評価を受ける天然のものは幻とも言われるサファイアです。
スリランカの誇るべき宝石の一つです。

故ダイアナ妃のサファイアのリング

サファイアと言えば、故ダイアナ妃の大きなオーバルカットのリングを思い出します。
チャールズ皇太子から贈られた婚約指輪です。
ロイヤルブルーに輝く目を見張るような美しいサファイアを、14ピースのダイヤモンドが取り巻き、より一層サファイアを惹きたてていました。
当時、連日のようにワイドショーを賑わすダイアナ妃の指に何度魅了されたことでしょう。
これほど大きく美しく、そのしなやかな指先にフィットしているサファイアは、何十年と時を経ても脳裏に焼き付いて消えることはありませんでした。
ダイアナ妃が不慮の事故で亡くなった後も、あのサファイアは一体どうなってしまったのだろうとずっと気にかけておりました。
そんなある日、ウィリアム王子と婚約したキャサリン妃の指に、あのダイアナのサファイアを見つけた時は、震えあがるほど興奮しました。
ウィリアム王子は、ダイアナ妃が大切にしていたサファイアのリングを婚約指輪としてキャサリン妃に贈ったのです。

宝石に魅了されるのは、美しい輝きや希少性だけではありません。
その宝石がどのような経路をたどったか、どのような思いがこめられていたのかといった歴史こそが、更に深く心に残り価値を高めるのではないでしょうか。
ヨーロッパでは、古くから「ビジュードファミーユ」といって、宝石を大切な家族へと受け継いでいく習慣があります。
アンティークなデザインが逆に新しかったり、アレンジやリフォームを加えたりしながら受け継いでいくのはとても素敵な習慣ですね。
あのサファイアが今後どのような道をたどっていくのか、遠くから静かに見守っていきたいと思います。

サファイアの持つ力を表現した物語!?


オスカーワイルドによる童話に「幸福の王子」というお話があります。
ある町の上に高く柱がそびえ、そこに幸福の王子の像が立っています。
王子の像は全体を薄い純金で覆われ、 目には二つの青く輝くサファイア、
剣の装飾には大きな赤いルビーが輝いていました。

王子はかねてより町の貧しい人々を助けたいと心を痛めていましたが自ら動くことはできません。
やがて王子の下に南へ渡る途中の一羽のツバメが羽を休めます。
王子は、大粒の涙を流しながらツバメに自分の願いを伝えます。
その願いの一つとして、
遠く粗末な屋根裏部屋で寒さに震え、お腹を空かせて衰弱している劇作家に、自分のサファイアの両眼をくりぬいて、彼に届けるようにツバメに命じますが…。

物語の結末は興味があればぜひ確認していただくとして、
子どもの頃に読んだ時は献身的な王子とツバメの描写が衝撃的で悲しくて…怖さすら感じた記憶があります。
大人になった今では、優しさと愛と自己犠牲…そして切なさと傲慢な人間の物語としてだけでなく、
『HELP EVER HURT NEVER (常に助け、決して傷つけない) 』 を表現し、サファイアの神聖性と効力を描いた物語とも捉えることができそうです。
改めて読んでみると、子供の頃に感じた思いとは別視点での感情を味わえることも面白いですね。

誠実・慈愛の宝石~サファイア

サファイアは、ダイヤモンド、ルビー、エメラルドと共に、世界的に人気のある宝石です。
完璧な青の美しさは古くから称えられ、最も神に近い石と言われてきました。
一生持ち続けたい宝石でもあるので、婚約指輪や大きな記念の時に是非お勧めしたい宝石の一つです。
サファイアが持つ「誠実」「一途な想い」という意味をこめて、婚約指輪としてもとても人気があります。

宝石言葉は、「誠実」「慈愛」「一途」「徳望」「崇高」など。
高飛車な傲慢さは微塵もなく、真の美しさ寛容さがそこにあるような気がします。
ご紹介した逸話だけでなく、精神的な面や病気の治癒などに使われてきた歴史からも宝石言葉への由来が想像されます。

次週の後編は、もう一つの9月の誕生石「アイオライト」についてお届けします。

ライター:綺羅子

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